これはリコー(当時は理研光学)が発売したリコーオートハーフシリーズのひとつ、「オートハーフE2」というフィルムカメラです。
カメラに、特にフィルムカメラに熱を上げるようになった大学生の時、銀座の松坂屋で開催されていた「中古カメラ市」で出会いました。正直なところかなり年季が入っていて、状態が良いものとは言い難かったのですが。それでもその珍しい姿に惹かれてしまって、勇気を出して購入に踏み切ったもの。(例えば今のデジタル一眼などと比べれば、よほど手に入れやすい価格でしたが、それでも学生にとっては高価なお買い物でした)
この大学生時代が一番、カメラ、特にフィルムカメラに傾倒していたように思います。その頃に集めたものを中心に、わたしの毎日を楽しくしてくれる「ぞっこん」なカメラたちについては、これまでも少しずつ紹介してきました。
今回のカメラ記事は5つ目です。手に入れた順番で言うと、わたしにとって2台目のカメラだったはず。
レトロで、かわいくて、ちょっとクセがあるこのオートハーフのことを、少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
オートハーフはどんなカメラ?
この「E2」という機種の生産年は1976年。わたしよりも先輩。オートハーフシリーズ自体でみると、さらに少しさかのぼって1961年に登場して1979年まで、「S」とか「E」とか「SL」とか「EF」とか…様々な機種が製造されたようです。
いろんな角度から見てみます
上から見たところ。右がシャッターで、左は絞りなどを決める調整ダイヤル。
左から見たところ。図の通りボタンを下げると裏蓋が開きます。
裏蓋を開けたカメラ内部。フィルムは35mmを使います。
下から見たところ。ここが一番の特徴かもしれません。
ゼンマイ仕掛けになっていて、左のダイヤルをある程度回しておくことでフィルムは自動巻き上げ。1枚撮影するごとにフィルム巻き上げをする必要がありません。巻き上げが止まってしまったら、再びダイヤルを回す。古時計みたいですね。
こんな一風変わったクラシックなカメラに、わたしが魅力を感じたポイントは2つ。
- とにかくボディがかわいいこと
- ハーフサイズカメラであること
それぞれについて、ちょっと詳しく綴らせてください。
魅力1:とにかくボディがかわいいこと
「中古カメラ市」には数々の魅力的なカメラが並んでいたわけですが、インパクトあるそのボディに目が釘付けになりました。レトロな柄とカラー
目を引いたのは、昭和感たっぷりのレトロな柄と、カメラではなかなか見ることのないカラーリング。この記事を読んでくださっている人の中に、このオートハーフシリーズを持っている人がいるとしても、なかなか柄まで一緒ということはないのかもしれません。
と言うのも、「E」「E2」の2機種は多彩なデザイン展開がされたらしく、緑・青・金・銀・黒、幾何学模様や車や花のイラストなど、本当に様々なタイプがあるみたい。札幌オリンピックモデルとか大阪万国博覧会モデルなんてものも存在するようなのです。
そんななかなか手に入らないかもしれない個性的なカメラ、魅力を感じませんか?
(そして今、すごく気になる本を見つけてしまいました…買ってしまいそう…)
ポケットに入るかわいいサイズ
スクエアとは言いませんが、縦横比にそこまで差がない四角い箱型が独特です。そのサイズは、上着ならばポケットにすぽっと入る小ささ。当時、タバコの箱程度のサイズを目指して作られたとかなんとか。(実際のところ、タバコよりは大きいですが)わたしの手のひらに乗せて、ちょうどいいサイズ。手乗りカメラです。
それでもトイカメラのようなチープさはなく、古き良きカメラの素材感・ずっしり感がしっかりとあって、そこも愛おしい。
その魅力が伝わるように
わたしがひとめぼれしたオートハーフ。「好きなのは見た目だけなの!?」とちょっと怒られそうですが、そのかわいさが伝わるようにいろいろ撮影してみました!
エアプランツたちとオートハーフ。
ケーキのようなお皿の上のオートハーフ。
外出時に草の上に置かれたオートハーフ。
クローズアップ!
ほら、とてもかわいいですよね?
魅力2:ハーフサイズカメラであること
名前にも「ハーフ」と入りますが、このカメラは「ハーフサイズカメラ」と呼ばれるもの。使用するフィルムは一般的によく使われている「35mmフィルム」なのですが、1コマの撮影サイズが少々変わっています。
標準のフォーマットは24mm×36mm。
ハーフサイズカメラは18mm×24mm。
通常のちょうど半分のサイズ。このため「ハーフサイズカメラ」もしくは「ハーフカメラ」と言うのです。
普通のカメラの2倍の枚数が撮れる!
撮影サイズが半分になると何が嬉しいというと、ずばり…普通のカメラの2倍の枚数の写真が撮れます!24枚撮りフィルムなら48枚。
36枚撮りフィルムなら72枚。
デジタルカメラしか扱わない人には、この数はどう感じるのでしょうか。そもそも撮影枚数を気にかけるのでしょうか。
わたしはフィルムカメラの場合、とても枚数を気にします。特に最近はどこででもフィルムが手に入るわけではないし、かなり高価だし、現像をするのも時間とお金がかかるので。だからこそ、1枚1枚悩んで被写体や構図を決めて大切にシャッターを押す楽しみがあります。
なので、24枚が48枚になるって、とても大きい。他のフィルムカメラより少しだけ気軽に、ゆるっとふわっとした気持ちで、このカメラと散歩や旅ができるということなのです。
画質は粗くなるけれど…
注意点としては、半分のサイズで撮影するということは、当然フルサイズに比べて画質が粗くなります。ただこれは決して単なるデメリットではなく。「粗さ」によってレトロな雰囲気になるので、普段と少し違う写真が撮れるおもしろみがあります。
縦構図の写真が撮りやすい!
普通のカメラを想像してみてください。普通に構えて撮った写真は横構図ですよね。縦構図を撮るには、カメラを90度傾けますよね。オートハーフは、普通に構えた状態で「縦構図」の写真が撮れます。
(フィルム送りの方向は通常カメラと同じく横向き。その状態で通常の半分の長さのフィルムを使いながら撮るので、そのようになります。A4・横の紙を半分に折る→A5・縦になる、みたいなことです。)
わたしは元々縦構図が好きで、一眼レフであっても縦構図ばかり撮ってしまいます。(だからブログ用の写真を撮るのがちょっと苦手です)
カメラを回転させず、普通に構えていて縦構図。これは、わたしにとってはとても嬉しい特徴です。
オートハーフ以外のハーフサイズカメラたち
オートハーフ以外にも、ハーフサイズカメラはいろいろあるのでついでに軽くご紹介。気になったらぜひ検索してみてください。どれも個性的で素敵なカメラたちです。- キャノン デミ
- キャノン ダイヤル35
- ペトリハーフ
- ヤシカハーフ
- 京セラ サムライ(実はこれも持っています、いずれ記事に書きたい)
そして、デジタルカメラでいまなお人気のオリンパスのペンシリーズも、元々はハーフサイズカメラとしてスタートしたものだったりします。
オートハーフで撮影した写真もチラッと
どんな写真が撮れるのか、きっと作例を見たい人もいますよね。ボディのことばかりでごめんなさい。この記事を書くにあたり、本当は新しく撮影をしたかったのですが。なにぶんたくさん撮れてしまうハーフサイズカメラ。24枚撮りフィルムを入れて、42枚撮るのがなかなか大変そうで間に合いませんでした…
過去にこのカメラで撮った写真をそっと置いておきます。(見事にすべて縦構図!)
オートハーフは、見た目だけでなくその写りも、どこか昭和レトロ感を帯びた懐かしい雰囲気の写真が撮れる気がします。
でもそれは、性能とか特徴とかの話だけではなくて。このボディを手にすることで、このカメラが似合うような空気感の写真が撮りたくなってしまう…そういうことなのかもしれません。
最後にアドベントカレンダーのことを
冒頭でも一文添えましたが、この記事は「フィルムカメラ Advent Calendar 2017」の1日目のエントリーです。Adventarというサービスを利用し、12月1日〜12月25日までの25日間、特定のテーマに関するブログ記事をいろいろな人で書いていこうという企画が作れるのです。
昨年、友達が作ったAdvent Calendarに参加して楽しかったので、今年は自分でもテーマを立ててみたくなり…
初アドベントカレンダー作った📷✨
— shizooo (@shizooo85) 2017年10月26日
フィルムカメラ好きな方、なにとぞよろしくお願いいたします( ˘ω˘ )
フィルムカメラ Advent Calendar 2017 – Adventar https://t.co/qVzjIUltAn
こんな形で呼びかけたところ、とても頼もしく素敵な方々が参加表明してくださって感激しています。
これからいろんなフィルムカメラの話や美しい写真、カメラへの思いが綴られたブログが読めると思うと楽しみでなりません!みなさま楽しんで、フィルムカメラの楽しいところを書いていただけたら嬉しいです。
ただ、ひとつだけ心配をしているのです。もしかしたら素敵記事の中で新たな「ぞっこんカメラ」と出会ってしまって、自分へのクリスマスプレゼントになってしまうかもしれないな…( ˘ω˘ )